サイトウ乗馬苑では競走馬や乗馬の調教がおこなわれ、若いジョッキーたちが共同生活を送っている。また宮城県に牧場をもち、馬の繁殖・生産にも携わっている。 現在、齋藤さんは、競走馬の調教師をやりながら馬の育成にもつとめているが、はじめはもっと別の通に進もうと考えていたという。 「本当は、獣医さんとして飯を食っていきたかったんだけど、いつのまにか聴診器はずしてムチを持つようになっていました。やっぱり馬に乗りたくてね。でも、実際自分で牧場をつくって育てるということになると、忙しくて乗る暇もないですよ」 さらにうかがってみると、獣医師から調教師になり、牧場をつくったという背景には、齋藤さんのこんな思いがこめられていた。 「親の代から生活そのものが馬といっしょだったね。子供の時はよその子がおもちやで遊ぶように、馬と遊んでいた。小さいころ競馬の世界に憶れましてね。いま、こんな大きな体だけど、昔は競争馬に乗っていたんですよ。でも、競走馬っていうのは、ある程度年をとったり故障したり、クラスが上になってしまうと、競馬には合わないということになる。すると、そうなった馬はどこへ行っちやうのかな・・・と思ってね。そういう馬たちを自分の手元において、乗馬として調教してみたらどうか、と考えたのです」 馬への情がきっかけとなつて、齋藤さんは獣医師からトレーナーの資格をとり、本格的に馬の繁殖・育成・調教を手掛けていった。 「ただし、競走馬としてダメだから乗馬にするんじゃない。競走馬をまっとうした質の高い馬を、乗馬として仕上げていくんです。僕の夢は、いい馬をよく調教して競技用馬でいい成績をあげていきたい、ということ。僕は、外国からできあがった馬 を買つてきて競技会で使うよりも、新馬を自分の手でつくつて競技会に出していく、そういう夢をもつてやってています。そう考えて「馬つくり」に専念しているのです」
このサイトウ乗馬宛では、若い人たちが毎日馬と生活している。ご夫婦で里親としての資格を持つ齋藤さんは、この若者たちをどのように見つめているのだろうか。 「やっぱりね、馬に乗りたいっていう気持ちできていても、なかなか大変だなあ、ってところが本音だろうね。「馬乗り」なら、いくらでもつくってあげられる。でも、「馬術家」を目指すとなるとね・・・。 だから僕がいつも子供たちにいうのは、まず馬についての知識をマスターしなさいということ。そして、技術をマスターしなさい。でもそれだけじやダメなんだ。「心」がなくちゃ。馬に対して、周りの人に対しての情というものがなくちやいけないな。知識・技術・心、この3つをやり通していかないと、一人前にはなれない。 馬の道具に対しても、もちろん馬あっての道具だけど、その道具を使って自分が勉強していくんだと思えば、鞍ひとつ、ムチ1本にしても大事にする心が生まれるはずだからね。でも、いまの子供たちは育った環境が僕らとぜんぜん違うから、何を考えているのかわからないところがある。そこがまた難しいね」 齋藤さんには、飽食の時代に育った現代の子供たちに、物事の道理をきちんと教えようとする「親父」の表情がある。こうしてプレハブの2階から馬場をながめるように、乗馬苑の若者たちの成長を見守っているのだろう。
宮城県の牧場で生まれた馬は、2歳の秋に千葉にやってきて、3歳の春ころまで育成と鍛練を積み競馬場にむかうのだという。馬が子を落とし、競走馬として活躍したのち、またふるさとサイトウ乗馬苑に帰ってきて老後を送る。 ここから巣立ってつていく若きジョッキーたちにとっても、やはりサイトウ乗馬苑は懐かしいふるさとなのだろう。
「乗馬ライフ」インタビュー特集より
サイトウ乗馬苑 成田市荒海1039 TEL 0476-36-1714 / FAX 0476-36-1858 info@saitou-umaclub.com