ホースセラピーとは

障害者の方も安心して楽しめます

身体障害者は、馬に乗ると障害が増強されるとの理由で乗馬することを拒否され、知的障害者は指示の理解や意思の疎通等が困難であるという理由で、馬に騎乗する機会が与えられていませんでした。しかし現在では、様々な障害に応じた馬具が開発され、乗馬の指導方法も発達し、多くの障害者が安心して乗馬を楽しめるようになっています。

サイトウ乗馬苑は全国障害者馬術大会にも参加しています。

乗馬の効果

障害者は身体を動かす機会が少なく、呼吸器や骨・筋肉に対して、適度な刺激を与えることができません。乗馬は循環器や呼吸器に良い影響を与え、新陳代謝の改善を行うだけでなく、運動器官や平行機能にも良い影響を及ぼし、情緒面でも著しい効果をあげることが出来ます。

身体障害に対する効果

ストレッチ効果

馬体の背中の丸みや上下運動を利用して、またの内側の筋肉を徐々に引き伸ばし、股を閉じる筋肉を柔らかくします。またふくらはぎやアキレス腱を無理なく引き伸ばす効果もあります。

温熱の効果

馬の体温は37.8度~38.5度です。この体温を利用して、筋肉疲労や脳(中枢神経)の障害などで緊張した筋肉を暖め、緊張を解きほぐす効果があります。ストレッチ効果との相乗作用が期待できます。

平衡感覚の効果

立位バランスや歩行バランスが不安定な障害者が、馬の規則正しいリズムに合わせて騎乗することで、リズミカルな動きや体の左右のねじりに対応した、騎乗姿勢を保持する平衡感覚を養うことができます。

分離運動の効果

脳に障害(中枢神経系障害)がある場合、一つの関節だけを単独で動かすことができません。乗馬のレッスンでは馬に正しい指示をするため、手足の関節を別々に動かすことができ、スムーズな運動が可能となります。

筋力増強の効果

脳に障害があると機能的に筋肉を使う事が苦手です。乗馬で軽速歩は、鎧を踏みながら立ち上がり、ふくらはぎで馬体を締め付けるので、股を閉める筋肉の調整ができ、下半身の筋肉の機能的な動きが可能になります。

支持性の効果

股を開いて鞍の上に跨れば、体を安定させるための腹筋と背筋のバランスが良くなり、日常生活の歩行や座位において、頭・脊髄・骨盤・下肢の位置関係等が良くなり、正しい姿勢が保持できるようになります。

情緒面の効果

自信・満足感

馬に乗ることで、今まで体験したことのない高い視野、スピード感を得ることができるので、「馬に乗った」という満足感を得られ、更には「大きな馬を操れた」という自信が生まれます。

意思・感情の表現

馬の騎乗中は馬と意思の疎通を図らなければなりません。これを続けていると、騎乗者は馬に自分の意思や感情を伝え、馬と友情を結びたくなり、自分自身の意思や感情を十分に表現することが出来ます。

協調性・調和性

社会から隔離されていると感じている障害者は、乗馬により、家族や友人に馬場や騎乗の様子を話す機会が生まれます。そのことで他人の話を聞いてもらい、話を聞くようになり、協調性が・調和性が身につきます。

聴覚障害に対する効果

聴覚情報の提供

聴覚障害者は乗馬レッスン中、インストラクターの声を聞くことが出来ませんが、馬はその声を聞こうと、緊張し色々な素振り・合図で騎乗者に注意を促してくれます。このような合図を騎乗者が覚えてしまえば、馬に乗りながら聴覚情報の一部を馬から提供してもらえることになり、視覚情報が唯一の情報源ではないことを経験できます。

視覚障害に対する効果

精神的な効果

視覚障害の乗馬の効果は、馬の目を借りることにより障害物の存在に対する不安から開放されて、馬の動きやスピード感を味わえることができ、スポーツを行う楽しさや開放感を経験できることで、精神的な効果が期待できます。また、視覚障害者のチャレンジ精神を満足させることもできます。

馬と触れ合うことで、様々な効果が期待できます。

乗馬療法の歴史

古代ギリシャ時代 「戦争で傷ついた兵士を馬に乗せることで治療した」と記された文献が発見される
20世紀初頭 英国人が自分の馬を病院へ持ち込み、負傷兵たちを乗せる。「障害者乗馬」という言葉がこのとき初めて用いられる
1948年 英国の整形外科病院が、障害者乗馬の施設として初めて国の公式指定を受ける
1952年 ヘルシンキオリンピック乗馬ドレッサージュ競技で、両足麻痺というポリオ障害を克服したリズ・ハーテルが、銀メダルを獲得。
ノルウェーで乗馬が治療の手段として活用され始める
英国で障害者乗馬信託が設立
1985年 障害者乗馬が日本に導入
1993年 日本で全国障害者交流乗馬大会が開催
1998年 日本障害者乗馬協会(JRAD)、日本乗馬療法協会が設立
2000年 馬術がパラリンピック対象種目になる

乗馬の達人

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Angelika Trabert
生年月日:1967年9月10日
出身:ドイツ
障害:両下肢形成不全(グレードⅡ)

【乗馬歴】

6歳から馬に乗り始めるが、その後乗馬や指導者が見つからずに練習を中断。18歳までは義足をして乗っていたが、ウェスタン鞍を使い始めたのをきっかけに義足をつけずに乗るようになった。22歳から本格的な馬場馬術を始める。

【競技歴】

91年 デンマーク世界選手権 — 個人2位/団体1位
94年 イギリス世界選手権 — 個人2位/FS1位(借馬)
96年 アトランタパラリンピック — 個人2位/FS2位(借馬)
99年 デンマーク世界選手権 — 個人2位/FS2位(自馬)/団体2位
※FS=フリースタイル

【メッセージ】

乗馬は性別、年齢、障害者、健常者、誰とでも競技ができ、馬上では誰もが平等です。評価されるのは「何ができないか」ではなく「何ができるか」です。それが私と馬の関わりを特別で、他とは比較にならないものにしています。

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Bianca Vogel
生年月日:1961年2月24日
出身:ドイツ
障害:両腕上肢形成不全(グレードⅢ)

【乗馬歴】

乗馬歴28年。80年代から愛馬「ターボ」を駆って一般の馬場馬術大会に出場するようになる。

【競技歴】

91年 デンマーク世界選手権 — 個人1位/団体1位
94年 イギリス世界選手権 — 個人1位/FS4位(借馬)
96年 アトランタパラリンピック — FS8位(借馬)
99年 デンマーク世界選手権 — 個人1位/FS1位(自馬)/団体2位
※FS=フリースタイル

【メッセージ】

私は、馬を洗ったり鞍をつけたりする時に誰かの助けを必要とします。ですが一度馬に乗ってしまえば、一人で何でもできます。それが私にとって何よりの魅力です。それに加えて、馬のうっとりするような美しさ。馬は一般の人達と競う合う機会を私に与えてくれました。そして私はしばしばそういう機会をを楽しんでいます。